社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)
「あの〜、思い出を少し…」
「思い出?」
言い訳するつもりはないから思い出していた事を飯田さんに伝えれば――
「そうだったのか」
飯田さんはウィンカーを出しまたまたふっかーい溜め息。
「えっと、あの。飯田さん?」
「何だ?」
「わ、たしなりに頑張ります。飯田さんの妻として頑張りますから」
飯田さんの事は分からない事ばかり。
でも入籍はするんだからちゃんと‘妻’の役目を出来るだけは果たしたい。
「なら、まずはその呼び方を変えてほしい」
「呼び方って…」
「飯田になるくせに俺を’飯田さん’と呼ぶのは可笑しいと思わないか?」
うーん。
そう言われれば、そうかも。