社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)



「お願いします」





真横に立つ拓斗さんは婚姻届けを窓口にいたおじさんに手渡した。


時間でいうならどのくらいだろう。





「はい、確かにお預かりしました。おめでとうございます」





あっさり受け取ってもらい、想像よりも早くその言葉を聞く事が出来た。





「ありがとうございます」





そう言って窓口の人に頭を下げて、窓口まで来た時と同じように拓斗さんの後ろを着いていく。


私はもう飯田優子さん。


目の前にいる拓斗さんの妻…





「やべー、マジ緊張すんだけど」

「ちょっとぉ。その緊張移るんだけど」





駐車場に向かう途中で、婚姻届けを出しにきたであろう腕を組んで歩くカップルとすれ違った。



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