【3】キャベツの男
「もし奥の部屋に行ってしまったら、街の通りも見えなくなってしまいますよ。そうなってしまえば、僕のことを、誰も見てくれなくなるのではないですか」

 彼の語気は強まった。

 ここまで話して、私はようやく、彼にとって大切なものを介間見たような気がした。
 
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