天神学園高等部の奇怪な面々Ⅸ
学園の校門に差し掛かると。

「お?」

龍太郎は一人の女子生徒に気づく。

松葉杖でヨロヨロと歩いている。

片足にはガッチガチに固められたギプス。

足を骨折しているらしい。

何だか歩くのに難儀している様子。

「おい」

龍太郎は初対面のその女子生徒に声をかけ。

「鞄持ってやるよ」

彼女からヒョイと鞄を取り上げた。

「あ、丹下君だ」

龍太郎に気づいたその女子生徒は、ニパッと笑う。

「お?」

対する龍太郎も、彼女には見覚えがあった。

確か昨日の早朝、修学旅行行きのバスで窓に指を挟んで痛がっていた…。

「幸多 千歳っていうんだよぉ、丹下君よろ…」

と言い掛けた彼女の顔面に、楕円形のラグビーボールが直撃!

しかも角の尖ったとこだ、これは痛い。

にもかかわらず。

「しくね~♪」

怯む事なく千歳は会話を続けた。

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