天神学園高等部の奇怪な面々Ⅸ
鼻血出るわ、松葉杖失うわ。

それでも。

「何のこれしきっ…」

千歳は不屈の執念で、廊下を這いずって職員室へと向かう。

途中何度も避難する生徒達に踏まれたが、それでも諦めない。

某ホラーゲームの這いずりゾンビの如く匍匐前進を続け。

「よっ、よっし…」

遂に彼女は職員室へと到達した。

ここに来るまで数々の不幸に見舞われた千歳であるが、ここに来て幸運の女神が僅かに微笑んだのか。

職員室には誰もいなかった。

どうやら龍太郎の暴挙で教師は全員出払ったらしい。

(あのスペシャルバカ…ちゃんと捨て駒の役割果たしているじゃない…けけっ、踊れ踊れ)

腹黒い笑みを浮かべながら匍匐前進する千歳。

確かこの職員室の隅っこに、重要書類の入った金庫が…。

そう思っていた千歳は。

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