天神学園高等部の奇怪な面々Ⅸ
「おっしゃあ、こりゃ完璧スリーカウントだな」

立ち上がってガッツポーズを決める荏月。

「お兄ちゃん、やり過ぎだよぅ」

遡雫がトタタタ…と龍太郎に駆け寄って、彼のそばにしゃがみ込む。

「龍太郎、痛かったねぇ、痛かったねぇ…」

彼の体を揺さぶりながら、強打した頭を撫でる遡雫。

「どうだ遡雫?」

荏月はムンッ、と胸を張る。

「そんなスペシャルバカより、俺の方が億倍強ぇえんだぜ?頼りになるだろ?かっけーだろ?うんと甘えていいんだぜぇ?」

カッコいい兄貴ぶりをアピールする荏月。

これで遡雫が「お兄ちゃあん♪」とかハグしてくれたらいいなとか、イタイ妄想が早くも脳内で始まっている。

が、その妄想に反して。

「龍太郎をいじめるお兄ちゃん、嫌い」

遡雫は冷ややかな目線を荏月に送った。

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