天神学園高等部の奇怪な面々Ⅸ
しかし。

「龍太郎!」

荏月は何を思ったのか、先程まで殺し合いにも似た喧嘩をしていた龍太郎の手をガシッ!と握り締める!

「わかる!俺にもわかるぜその熱い魂!」

え、ちょっ…。

「そうだよな!男ってなぁそういうもんだよな!汚名を被る事になっても、体張らなきゃいけねぇ時もあんだよな!」

「おお!わかってくれたか兄弟(きょうでぇ)!」

…何、このヤッスイ芝居。

拳で語り合った結果というか、単細胞同士相憐れむというか。

馬鹿には馬鹿しかわからない意思の疎通というものがあるらしい。

興奮した荏月は。

「惚れた遡雫の為なら、自分が汚れ役かってでも守ってやらなきゃいけねぇんだよな!」

遡雫が近くにいるのも忘れて、デカイ声で叫ぶ。

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