天神学園高等部の奇怪な面々Ⅸ
「ええ、天神学園で火災なんですけど」

人の好い笑顔で電話口に話しかける高成。

『え゛、天神学園?』

受話器の向こうのオペレーターの絶句が手に取るようにわかった。

『な、何とか自分で消火出来ません?』

「いやぁ、僕ら消防のプロじゃないんで」

『でもなぁ…天神学園の生徒ってムチャやらかす子ばかりじゃないですか、消防署の職員が行きたがらないんですよねぇ…イタ電も多いし』

「いやいや…悪戯じゃないですよ?本当に火事で…」

『こないだだってそう言うから出動したら、生徒達に身包み剥がされて消火服強奪されたって聞いてますよお?』

「そこを何とか…」

『いやですよぉ…天神学園って人外とかもいっぱいいるし、怖いんですもん』

「…………」

ちょっとイラッとする高成。

「…………うちの天スポは、大手新聞社にもコネがありますよ?消防署が出動要請を断ったなんて記事が世間に出回ったら、きっとマスコミがこぞって消防署を叩いて…」

『わ、わかりましたっ!直ちに出動し致しますっ!』

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