天神学園高等部の奇怪な面々Ⅸ
そんなこんなでプールに到着。

「おい美葉、いるかぁ?」

声をかけると。

「ふえぇえぇん、龍太郎ぅうぅ」

迷子センターでお母さんを待っていた迷子のように、美葉は龍太郎に泣き付く。

「もうこのまま野垂れ死ぬかと思ったよう」

「あーよしよし…」

パン買いに行って野垂れ死ぬ奴なんているのなら、是非ともお目にかかりたい。

「俺ぁお陰で桐木に目ぇつけられて散々だったぜ、この冬休みも補習になったらどうしてくれんだ美葉」

「そりゃあ知らないよ、龍太郎のスペシャルバカは私の責任じゃないもん」

迎えに来てくれた恩人に、シレッとそんな事を抜かす美葉。

「んだとこの野郎!」

軽く小突いてやるつもりで手を出した龍太郎は。

「うわっ!」

条件反射で龍太郎の拳を受け止めた美葉の投げ技の餌食に。

ドボォンッ!と。

プールに転落する水音が響いた。

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