天神学園高等部の奇怪な面々Ⅸ
「む」

翡翠は静寂の顔をまじまじと見る。

「小僧、貴様は確か3年の御雷 静寂だな…聞けば授業にも出ずに訳の分からん実験ばかり繰り返して留年したとか」

訳の分からんとは心外だ。

自分の実験は偉大で崇高なものだと自負しているのに。

あくまで『自負』だが。

「実験やら研究は結構だが、学生は学業が本分。それを疎かにして…」

翡翠の視線が、静寂の手にした注射器に落ちる。

「医者か科学者気取りでいると、また留年しかねんぞ」

「お、お言葉ですが翡翠先生…」

止せばいいのに反論しようとする静寂。

そんな彼の目の前から。

「!?」

翡翠がフッと消えたかと思うと。

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