天神学園高等部の奇怪な面々Ⅸ
プツリと。

龍太郎の首筋に注射針が刺さる。

「いてっ!」

鋭い痛みに思わず振り向く龍太郎。

その時には既に、静寂は薬品を彼に注入して離脱していた。

「……虫にでも刺されたか?」

訝しげな顔をして再び歩き出す龍太郎。

そんな彼を監視しながら。

(せ、成功だ…!)

静寂は壁の陰に隠れて息を荒げていた。

開発した筋肉増強剤を、龍太郎に注入した。

これで人間に対する効き目を検証する。

実験が失敗した所で、なぁに、命までは失いはしないだろう。

多分、恐らく。

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