天神学園高等部の奇怪な面々Ⅸ
「お!いいのか?」

食い物を恵んでくれる人には、もれなく『いい人』の称号を与える。

スペシャルバカの思考回路などその程度のものだ。

「麿の住む屋敷で戯れに塩焼きをやっておってのぅ。塩には事欠かぬのでおじゃる。出来立ての塩で握った握り飯じゃから、美味でおじゃるぞ?」

ニンマリ笑う融。

「そうか、悪ィな麿!お前いいとこあるじゃねぇか!」

龍太郎は遠慮なく竹の皮の包みを開いて握り飯にかぶりついた。

が、そこでハタと気づく。

「麿、これお前の昼飯じゃねぇのか?お前は何食うんだ?」

「何…」

開いた扇で口元を隠しつつ、融は薄く笑う。

「これまた戯れに屋敷の者に『人間の食す昼飯』を作らせてみたが、どうにも麿の口には合わぬでな…」

そう言って融はクスクスと笑った。

「やはり『食う』のは…」

言いかけた彼からは、何とも妖艶な雰囲気が醸し出されていた。

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