天神学園高等部の奇怪な面々Ⅸ
その言いかけた融の言葉を途切れさせたのは。

「河原院君!」

名もなきモブキャラの女子生徒だった。

「あ、あのっ、一緒にお昼ご飯なんてどうかなっ?」

(成程ねぇ…)

塩気のついた指先をペロリと舐めながら、龍太郎が内心呟く。

(味気ねぇ塩にぎりなんか食わなくても、モテる麿は女子の作った弁当食えばいいってか。ケッ、色男は結構な事で)

こう見えて龍太郎もそこそこモテるらしいのだが、何せ朴念仁なので自覚がない。

勝手にひがんで。

「じゃあな麿、握り飯ご馳走さん」

しかしキッチリ塩にぎりの礼は言って、その場を立ち去るのだった。

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