天神学園高等部の奇怪な面々Ⅸ
手も足も出ないとはまさにこの事。

力むのは龍太郎ばかりで、融は汗一つかいていない。

彼の得意な舞いの動き、足運びのように、優雅で洗練された所作のみで龍太郎を容易くあしらう。

が。

「ふむ…」

扇の先を顎に当て、融は這い蹲る無様な男を見つめていた。

某神様、生徒会長、死神、世界最高峰の権力者、完璧超人を筆頭とする教師陣に至るまで。

天神学園の有力者達は、揃ってこの丹下 龍太郎という生徒に注目する。

ずっと気になっていたのだ。

特別な力も持たず、一介の人間でしかないこの男子生徒に、どれ程のものがあるというのか。

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