天神学園高等部の奇怪な面々Ⅸ
大きな視点で物事を見ている、というべきか。

逆に些細な事でも見逃さぬ注意力、というべきか。

丹下 龍太郎という男が注目される理由は、この不思議な人間性なのかもしれない。

相手が人外だろうと分け隔てなく接し、相手が雲の上の存在たる権力者だろうと拳を振るう。

どことなく、やがては組織の上に君臨するような人間力を感じさせる。

「成程成程」

扇を開き、口元を隠し、クスクスと笑う融。

「何が可笑しいんだ公家野郎!」

ガバッ!と立ち上がる龍太郎に。

「ほれほれ、蹴鞠キック」

融は軽く小突く程度に蹴りを入れる。

「いてっ!蹴んな!何で『キック』だけ英語なんだっ?」

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