天神学園高等部の奇怪な面々Ⅸ
ならばこれにて終幕か。

「だったら俺が先程言った通りの鍛錬を…」

生徒達に言いかけたその時だった。

「ち、ちょい待て…翡翠先生…」

一人の生徒が立ち上がった事に、他の生徒達がどよめく。

翡翠もまた、この授業で初めて驚愕の表情を見せた。

…龍太郎が立ち上がった。

(こいつ…)

翡翠は『兎を狩るのに全力を尽くす獅子』だ。

どんなに軟弱な生徒であろうと、手抜きなどはしない。

手加減はするが、手抜きは生徒に対する侮辱と考えているからだ。

つまり龍太郎に対する顎への一撃も、他の生徒に対する剣撃も、手抜きはしなかった。

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