二人二色
のろのろと用意を進め終えた後約束の時間を確認して家を出ようと靴を履きゆっくりと玄関の扉を開けた。むわあ〜ん〜…

『うわあ……』

夏の陽気がもたらした恵み…むさ苦しくそしてただ暑いだけの空気が冷房の効いた玄関を汚して行く。
『ダルい…でも…今行かないと時間になあ……はあ…』
覚悟を決め足を玄関の外に向け一歩踏み出した。
まさにそこは地獄。暑さは容赦ないぐらい有り、ただ玄関を一歩出ただけだと言うのに額から汗が生まれ、顔の横を過ぎて行く。
『蝉居たって不思議じゃあね〜…ぐらい暑いぞ…』
声にだしてしまえば更に暑さが増したように感じてしまう。
夏を制すもの…受験を制す…。その通りです。考えた方。
なんてくだらない考えが頭を埋めて行くのを無視しつつ足を進めた。
数十分歩き初めたせいか体は汗に汚染されべったりと衣類が肌につく。
『やっとか……』
高校で仲良くなった佑樹との約束の場所。商店街。
あたりは家族達やおばさん達で埋め尽くされまさに地獄である。
『暑苦しい…商店街の中の店だよな…待ち合わせ場所…』
そう考えただけてまた汗が出てきそうな程の光景に一つ溜め息が零れた。
意を決して、足を前に出すと…商店街の入り口前に中に入るのを自分と同じく躊躇している人がいた。
ラッキー。
待ち合わせをしていた人物…高校での友達の佑樹がそこにいた。
『なにしてんだ…』
後ろからゆっくりと声をかけて見れば佑樹はこっちに顔を向けて微笑んだ。

『ラッキー!!良かった…中に入らなくてすんで…』
『俺も同じ事考えてたよ』
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