ゴブリン! ゴブリン!


「な、なんだと?! 王宮が陥落した?!」
 青いリン族の王宮を人間が強襲した翌日の早朝、緊急の報告を受けた二日酔いのリン王は、激しく動揺しました。


「……祭りの日を狙われましたね」
 お祭り戦ごっこは、毎年その開催場所が、紅いゴブ族と青いリン族によって持ち回りです。
 今年は紅いゴブ族の領土で行われていたので、リン王の領土には、必要最小限の兵士しか残されていませんでした。


 しかも、人間に対抗できる体格のホブゴブリンは、全てこの紅いゴブ族の領土にいたのです。


 その上、ゴブ族の王宮で、ゴブ兵士達はエール酒のゴブゴブガブガブ一気飲み大会で、酩酊へべれけ状態。


 結果、人間は青いリン族の王宮を、大した犠牲も払わずに陥落させました。
 シックス君の一言に、リン王は激しく歯軋りをしました。


「人間は何を考えているのだ?! 相互不可侵、不干渉条約を忘れたのか?!(何度も書きますが、忘れたも何も実際ゴブリン達は「戦争しないよん」以外の意味を知りません)」


 リン王はゴブ族の王宮にこしらえられた、二つの玉座の一つに座り、玉座の肘掛を激しく叩きます。
 ゴブ五世陛下も玉座に座り、せわしなく視線を泳がせていました。


 実際に、戦争になってしまったら、紅いゴブ族の総戦力三十と、現在青いリン族の残存兵力ホブゴブリン五、ゴブリン十で、戦わなくてはなりません。


 人間の村は、最近人口増加が激しいので、この兵力よりも数が多いのは確かのはず。
 それ以上に、人間はゴブリンより体格がいいのです。

< 14 / 81 >

この作品をシェア

pagetop