ゴブリン! ゴブリン!
「……では、領土獲得以外の目的とは何だ?」
チークンが呟くと、シックス君はこう応えました。
「どちらにしても、プー姫奪還は最優先だ。よし、動こう」
シックス君が断言すると、ラムラムが刀を鞘に収めて、立ち上がります。そしてシックス君にこう言いました。
「そうだな。シックスの初恋の相手でもあるし、放っておけないぜ」
シックス君が赤面しつつ慌てた様子で、ラムラムに言いました(赤面したゴブリンが想像つかないのは、人間の想像力の限界です。諦めましょう)。
「だから、違うって! 彼女が可愛かったのは認めるけれど、僕は別に――」
「はいはい、分かった分かった。どちらにしても助けなきゃならんのは一緒だろ?」
不敵に笑うラムラムと、憮然としているシックス君。
シックス君、ラムラム、そしてチークンは、その日の内に王宮から旅立ちました。
そう――
プー姫奪還の大冒険が始まろうとしていたのです。