ゴブリン! ゴブリン!
4.ゴブだって、強いんだぞ
シックス君とチークン、ラムラムは、まずリン王の王宮に潜入する事で、意見が一致しました。
シックス君は皮鎧に盾、そして先祖伝来の剣「アルバス(エルフ語で「見本」という意味です)」。
チークンは白いローブに、精霊術師を意味する歪な形の杖。
ラムラムは黒く染められた皮鎧に、両手用の刀。
それぞれの装備を整え、その日の深夜、その三人の姿はリン王の王宮の入口が見える、森の中にありました。
「ありゃりゃ、人間が五人もいるよ」
ラムラムの言葉に、シックス君は森の中から顔を覗かせて、人間達を確認しました。
金属製の鎖帷子を身に纏っている人間が五人篝火に照らされています。その手には凶悪な斧や槍が光っています。
「アブナイ連中っぽいな~」
チークンが気楽そうに言います。何しろゴブリンですから、いつでもかつでも「ハア~お気楽極楽」気分。
イタズラが大好きなシックス君ですから、そろそろ人間にイタズラしたくてしたくて。
根は真面目なんですがねえ、何しろゴブリンだから~。
「チークン、アイツラくすぐれ!」
シックス君が言いますと。
「ラジャ(「了解」の意味です)」
チークンは笑いながらそう応えて、複雑な呪文(ゴブリンにしては、という程度である事をご理解下さい)を唱え、歪な形の杖を掲げました。
「ごぶごぶりんりんくすくすりんりん……ごぶ~っ!」
チークンが小さく叫びます。「風精(シルフです)」に、人間の兵士達の脇腹をくすぐらせるのです(早速、目的が変わってきている気が……)。