ゴブリン! ゴブリン!


 シックス君は顔だけをひょっこりと覗かせて、人間達を確認しました。


「にんげんにんげん、にんにんにん~っ、ひ~っひっひっひっ……」
「ぎゃはははははははははは……」
「うひひひひひひひひひひひ…」
「にんげん?うひゃひゃひゃひゃ…」
「にんげんにんにんにん~っ」
 どうも効果があった様子。


「シックス、プー姫って目的を忘れていないか?」
「あ、そうだった」
 本気で忘れてたんかい。
 思わずツッコミを入れたくなるほどボケるシックス君に対して、ラムラムが言いました。
「いくぞ、今なら五人程度ならばどうにかなる!」
 ラムラムが疾風のように、森から飛び出します。シックス君も後から続きます。


 さて、実際の戦闘力として考えましょう。
 チークンが掛けた、風精のくすぐり精霊魔法で、人間の戦闘力は半減してしまっているでしょう。
 そして、ラムラムの戦闘力は、ゴブリンにしてはずば抜けているのです。
 ラムラムの速度は、正しく疾風怒濤。


 ちゅん!


 ラムラムの刀が閃きました。
 ばったり。
 たった一刀で、二人の人間を倒してしまいます。ラムラムの得意技は抜刀術。ナニやら一子相伝の抜刀術らしく、彼の刀はその継承の証らしいです。


「安心しろ、殺しちゃいないぜ……」
 瞳を伏せて、「ふっ」と不敵に笑います。見ているこっちは「不適」の方が似合っているような気がするのですが。


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