ゴブリン! ゴブリン!
「ゴ、ゴブリン?! に、にんにんにんげん! ……ぎゃははははははっ」
シックス君とラムラムには、この人間達がナニを言っているのかは分かりません。唯一人間の共通語を話せるのはチークンなのですが、チークンの知っている共通語も、トンガ平原から数千キロ離れた場所で習ったものの為、素晴らしく方言が入っていまして。
もー別の言葉と同じ(爆)。
二人の人間を叩き伏せたラムラムの前で、シックス君が抜刀します。
「アルバス(何度も書きますが「見本」というエルフ語です)」を凛と構えて、くすぐりの魔法に耐えながら斧を構える人間に対して、真正面から戦いを挑みます。
「「アルバス」の威力――その身で知れ!」
これで「アルバス」の意味が「見本」じゃなかったら、すっごいカッコイイシーンなんですが。
剣術において、大振りは禁物。それをシックス君はラムラムから習いました。
必要最小限のみ動き、確実な打撃(剣撃と書けないところが悲しいところ)を加える。それが剣術の基本。
人間の鳩尾に、シックス君のアルバスが突き刺さります(ですから、あくまで見本ですので、剣というよりメイスと言った方が正しいでしょう)。
「ぐえっ!」
シックス君から見た人間は、自分より頭三個分は大きいでしょう。その人間が悲鳴を上げました。
「見本」ですので、もちろん剣は突き刺さりません。
人間はお腹を押さえて、ばったり。
残りは――二人です。