ゴブリン! ゴブリン!
かちゃり……と扉が開きました。
スケスケネグリジェ姿のプー姫は、ある意味で恥ずかしくて堪りません。まあ、人間から見たら、キモイだけなんですが。
視線を少しだけ上げて、扉から入ってきた人間を見ます。
やっぱり、あの痩せこけた精霊術師です。
(……? こいつ、顔色悪いだわさ?)
「お前、この村さ盗みに入ったゴブだべ?」
痩せこけた精霊術師は、プー姫にそう尋ねました。
プー姫は瞳をうるうるさせ、肩を震わせながら、精霊術師にこう応えました。
「そ、そんな事していないだわさ~。何で私だけこんなメに遭わせるだわさ?」
丸っきりオオウソ(爆)。一年前にドロボーしていますよね。
「その紫のリボンは、ゴブリン族の王族、しかも姫様だけの正装だべ? 嘘つくでねえ」
プー姫は、ぎくりとしました。そうなのです。プー姫の紫色のリボンは、ゴブリン族王族息女、しかも長女にのみ許された正装です。
それを知っているこの精霊術師は、ただの精霊術師じゃなさそう。
(……そうか、やっぱり私のカラダが目的なのね)
典型的オオボケ。
頭が弱いゴブリンならでわの論理展開の後、プー姫は自分の体を隠すように、精霊術師に背中を向けました。