ゴブリン! ゴブリン!


「お前が盗んだ、金縁の本を返すべ。あれは大切な本なのだ、だべ」
 プー姫はあの宝物である本を、自分の部屋のある場所に隠していました。何しろ、品物が品物ですし、実際リン王は人間への返還も視野に入れていました。


 それがイヤだったプー姫は、「なくしたよん」とオオウソをついて、自室に隠したんですね。
 問題は、プー姫の宝物である「本」を返せと言った事です。


 プー姫が盗んだ本は、確かに金縁で綺麗でしたし、高価そうでしたが、ペーコちゃんが盗んだのは黄金の指輪とか、ダイヤモンドのネックレスとか、本当に貴金属類でした。
 それを差し置いて、「本を返せ」とは―ナニやらウラがありそうです。


(……! もしかしたら、あの本は……エロ本?)
 もう一回、典型的オオボケ。
「あれってエロ本だわさ?」
「……お前、人間をバカにしているべ?」
「シテナイヨ~。よっ、このエロ親父!」
「……お姫様じゃなかったら、折檻だべ……(殺気)」


 ギロリと睨む痩せぎすエロ親父(冤罪)精霊術師。
「お前があの本を返したら、侵攻した兵力を撤退させてもいいべ」
 プー姫がびっくりする事を、痩せぎすエロ親父(冤罪)精霊術師が言いました。本一冊の為に、占領した王宮と、リン王の領土から撤退するというのです。


「ヤダ」
 プー姫は思い切り良く断りました。


 まず、その言葉が本当である「証拠」がない事があります。
 簡単に「本」を返してしまったら、この精霊術師と取引する材料が一つもなくなってしまいます。
 プー姫はゴブらしくない論理展開……


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