ゴブリン! ゴブリン!
6.王宮奪還?
シックス君とラムラム、そしてチークンは、リン族の王宮に侵入していました。侵入と言っても、隠れながら入っている訳ではなく、真正面から、堂々と侵入していきます(人はそれを「突撃」と言います)。
王宮内部の情報は、殆どありません。唯一、シックス君は子供の頃に来た事がありますが、何分子供の頃の話ですので、内部の構造なんか覚えていません。
なし崩し的に、シックス君達は片っ端から部屋をしらみつぶしにしています。
入口にいた五人の人間以外は、みんな眠っている様子。
酒盛りでもしたのでしょう。頬が赤い酩酊へべれけ状態の人間が、入口近郊の広間では雑魚寝しています。
チークンが精霊で調べた通り、表の五人と合わせて二十人程度でしょう。
寝ているものをわざわざ起こすほど、シックス君達はバカではありません。
抜き足、差し足、忍び足、シックス君とラムラム、そしてチークンは取り敢えず奥の部屋に向かいます。
何しろ情報と言ったら、この兵士達二十人と言う情報以外は、何もないのです。
情報を集める意味合いでも、まずこのリン族王宮に残されている(――ならばですが。何しろ奴隷として人間の村に運ばれたと言う話ですので)ゴブ達と話がしたいところ。
「……あっ!」
先頭を歩いていたラムラムが突然、小さく叫びました。