ゴブリン! ゴブリン!

 突然の事に、シックス君とチークンの顔に緊張が走ります。何しろここは青いリン族の王宮ですから、現在敵軍の真っ只中なのです。


「あそこを見ろ!」
「……ッ! むっ!」
 ラムラムが一点を指差すと、シックス君の瞳が見開かれ、チークンがわなわなと口元を押さえました。


「……あ、あれは!」
「オンナノコの下着ッ!(エロ王子)」
「オーッ! モーレツーッ!」
 ……そろそろ、オンナノコの下着路線から離れましょうね、三人とも。


 ラムラムが下着を見つけたのは、一般ゴブ居住区の一角(二階建ての洞窟の二階)です。
 青いリン族は、王族がリン王を筆頭に数名(プー姫はこの中に入ります。ちなみに王妃は昨年他界しています)、一般ゴブが百を超える程度のはずです。


 シックス君が下着を見詰めながら、プー姫の事を考えます。


 彼女の綺麗な栗色の髪に、紫色のリボンが揺れていました。
 その綺麗な栗色と、綺麗な紫色。初めて彼女に紹介された時、シックス君はドギマギしちゃって、殆ど話らしい話もできませんでした。


 それだけプー姫が可愛かった(何度も書きますが、どこまで頑張ってもゴブリンです)という事であり、同時に王族の王子であったシックス君には、オンナノコと出逢う機会がなかったのです。


 そんなシリアスなシックス君の思考の横で、チークンに肩車してもらいつつ、ラムラムは二階に干されている下着に手を伸ばしています。


 ……どごっ(怒)。


 顔面に怒りマークを引っ付けて、無言でチークンを蹴りつけるシックス君。


「あわわ」
 チークンがフラフラすると?


「ひええ」
 もちろん、ラムラムもフラフラになって?
 ……どごっ(怒)。


 もう一発、シックス君に蹴られたチークンは、ラムラムと一緒にフラフラしつつ、住宅街の一角に備えられた水桶に頭からダイブ(悲惨です)。


「陰謀じゃよ、ギャワ~(ぶくぶく)」
「そうじゃよ、陰謀なんじゃよ、ギャワ~(ぶくぶく)」
 溺れてしまえ、この下着マニアども。

 でも、ちゃっかり下着は確保しているラムラム(エロ剣士)。
< 30 / 81 >

この作品をシェア

pagetop