ゴブリン! ゴブリン!
突然の事に、シックス君とチークンの顔に緊張が走ります。何しろここは青いリン族の王宮ですから、現在敵軍の真っ只中なのです。
「あそこを見ろ!」
「……ッ! むっ!」
ラムラムが一点を指差すと、シックス君の瞳が見開かれ、チークンがわなわなと口元を押さえました。
「……あ、あれは!」
「オンナノコの下着ッ!(エロ王子)」
「オーッ! モーレツーッ!」
……そろそろ、オンナノコの下着路線から離れましょうね、三人とも。
ラムラムが下着を見つけたのは、一般ゴブ居住区の一角(二階建ての洞窟の二階)です。
青いリン族は、王族がリン王を筆頭に数名(プー姫はこの中に入ります。ちなみに王妃は昨年他界しています)、一般ゴブが百を超える程度のはずです。
シックス君が下着を見詰めながら、プー姫の事を考えます。
彼女の綺麗な栗色の髪に、紫色のリボンが揺れていました。
その綺麗な栗色と、綺麗な紫色。初めて彼女に紹介された時、シックス君はドギマギしちゃって、殆ど話らしい話もできませんでした。
それだけプー姫が可愛かった(何度も書きますが、どこまで頑張ってもゴブリンです)という事であり、同時に王族の王子であったシックス君には、オンナノコと出逢う機会がなかったのです。
そんなシリアスなシックス君の思考の横で、チークンに肩車してもらいつつ、ラムラムは二階に干されている下着に手を伸ばしています。
……どごっ(怒)。
顔面に怒りマークを引っ付けて、無言でチークンを蹴りつけるシックス君。
「あわわ」
チークンがフラフラすると?
「ひええ」
もちろん、ラムラムもフラフラになって?
……どごっ(怒)。
もう一発、シックス君に蹴られたチークンは、ラムラムと一緒にフラフラしつつ、住宅街の一角に備えられた水桶に頭からダイブ(悲惨です)。
「陰謀じゃよ、ギャワ~(ぶくぶく)」
「そうじゃよ、陰謀なんじゃよ、ギャワ~(ぶくぶく)」
溺れてしまえ、この下着マニアども。
でも、ちゃっかり下着は確保しているラムラム(エロ剣士)。