ゴブリン! ゴブリン!


「進もう、とにかく老人と子供の解放だ」
 シックス君はそう言うと、奥に進みます。ラムラムとチークンが、シックス君にこう言いました。


「で? 答えは出たのか?」
「……ふむ、考えてみよう。まず、青いリン族を襲った理由は?」
 チークンがそう言葉を発すると、シックス君は考え込み、ラムラムは視線を天井に向けつつ、こう応えます。
「トンガ草原の併合だろう?」
「安直だな」


 ラムラムの応えに対して、シックス君はそう断言しました。


「じゃあ、それ以外の理由ってなんだ?」
 顔を顰めながら、 ラムラムがシックス君に問い返します。シックス君は思案げな視線を、その言葉の発した主であるラムラムに向けます。


「まあなあ、俺達みたいな下着ドロやっていたとしたら、人間に襲われる可能性……あ、そうか!」
 チークンが突然、叫びを上げました。


「一年前の人間の村でのドロボーだ! あの時プー姫、このトンガ草原に戦乱を招く何か大変な物を盗んでいるんだ!」
「――! じゃあ、彼女がさらわれたという事は――」
「そうだ、シックス。プー姫はその品物を隠していたんだ! だから、今も囚われている」
 シックス君たちの足取りは、自然と早足になりました。牢屋は王宮の一番奥である事は、人間達とのやり取りで情報を得ています。


 そして――
 牢屋の区域に入りました。
 その時、老ゴブ達の瞳は見開かれ、子供達は喚声を上げました。

< 36 / 81 >

この作品をシェア

pagetop