ゴブリン! ゴブリン!
2.宴(酩酊へべれけ状態)
「ごぶごぶ、りんりんごぶりんりん」
はい、訳しましょう……もうめんどいので、私流で訳して表示します。
大敗したリン王は、ゴブ一世陛下以来の英雄と呼ばれている、ゴブ族の王子、シックス君に対して、宴の席でこう言いました。
「うむうむ、さすがゴブ族最強と呼ばれるだけある」
王室の宴の席ですから華やかだと思われるかもしれませんが、そこはゴブリン。既に二人の王様揃って皆々様、一同無礼講街道まっしぐら。
「まあね。僕の腕に掛かれば、この結果は当然ですよ」
リン王は最近、人間との諍いに困っていました。
ゴブ族とリン族は、元々一つのゴブリン族から派生した部族。
ゴブ一世陛下が治めていた時代は、諍いもなかったですし、人間との間には「相互不可侵、不干渉条約」が結ばれていました(ちなみに王様一同、「相互不可侵、不干渉条約」の意味合いは、「戦争しないよん」という意味以外知りません)。
その条約が破られたのは、一年前の事です。
その人間がリン王の領土に侵入してきているのです。
紅いゴブ族と青いリン族は、先程記した通り、元々は一つの部族でしたが、トンガ平原を統一部族であるゴブリン族で治める事が、ゴブ三世陛下の時代に実質上不可能になったのです。
その為に、部族を紅いゴブ族と青いリン族に分けて、統治し易くしたんですね。
ゴブリンの分際で、結構考えたもんです。