ゴブリン! ゴブリン!


「……プー姫の下着、青系だといいなあ」
 ……シックス君はそんなゴブらしい事を考えていたんです! 今までずっと!ええ、そうですとも!


「だから、物干し台に行こうって……」
 そう不満顔で言い募るチークンの後頭部に、もう一発鉄拳制裁ツッコミ(チークン失神)。


「……プー姫の部屋で青系下着……じゃない、金縁の本を捜索するのが先だ」
「……下着が優先だろ?」
 疑惑の視線ですね、ラムラム。


「そんな事はない! 最優先は金縁の本だ!」
「じゃあ、金縁のレースの下着だと?」
「ううっ! 悩む選択をさせるなあ。陰謀じゃよ、ギャワ~」
 陰謀なんすか。
 何となく、シックス君達の間で流行りつつありますね、陰謀説。


「……じゃなくて! 何で陰謀説になるんだよ!」
 シックス君、自分にビシッとノリツッコミです。
「シックス、そんなに緊迫した事態なのか?」
 引きずられつつ、引きずられつつ、ラムラムがシックス君に問いました。シックス君はとても真剣な視線を、ラムラムに向けます。


 ラムラムが知っているシックス君の表情の中で、今のシックス君の表情は、多分友達として付き合い始めて、一位、二位を争うほど、真剣な表情です(まあ、ゴブなんですが)。


「……む? ……あそこだな、多分」
 シックス君はラムラムの問いには応えず、また真剣な視線を前に向けました。ずるずると引きずられていたラムラムも自分で歩き出します。


 ラムラムが視線を前に向けると、確かにシックス君の私室と同じ構造上の場所に、部屋が存在しています。
 その部屋の前まで辿り着いたシックス君とラムラム、チークン(失神中です)は、扉に掛けられた小さなプレートに視線を向けます。


 そこには、「プー・ド・トンガ姫」と記されていました。


「……ラムラム、チークンを頼む。ここは仮にも王家の部屋なんだ。二人がこの部屋を捜索して、問題になったら困る」
「……分かった」
 ビミョーな表情で訝しげな視線を向けるラムラムに、シックス君は小さく笑いました。


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