ゴブリン! ゴブリン!


 シックス君はリン王に応えた後、手に握っている木の杯に注がれているエール酒を煽りました。
 エール酒くらいなら、ゴブリンでも生産できるんですよ。


「ところで、考えてくれたかね?娘との婚姻」
 リン王はシックス君の事をいたく買っていました。
 彼がゴブ一世陛下に負けていないだけの器だとも考えていました。
 人間の侵入が激しい昨今、それを押さえる為には相応の統一国王が必要だと考えていたんですね。
 統一王朝にする為の、一番手っ取り早い方法とは、二つの王室を一つに戻す事です。


「プー姫の噂は聞いています。かなりのお転婆らしいですね」
 プー姫のお転婆ぶりは凄いもの。
 何しろ一年前、人間の村に侵入して、村長の家から色々な物を盗んできたというから、本当に凄い。


 特にプー姫のお気に入りは、金色の縁取りをされた、とても綺麗な本だそうで(いや、実際はプー姫も他のゴブリンも、人間の文字は読めませんので、ナニが書いてあるのかは不明なんですが)。


 シックス君の一言に、リン王は苦笑します。
 あのお転婆を花嫁にするのは、本当に大変そう。


「父としては、お転婆だが可愛い娘だと思っているんだが」
 リン王はそう言いながら、シックス君の杯にエール酒を注ぎます。
 ちなみにゴブ族の現国王、ゴブ五世陛下は、既に酩酊へべれけ状態。戦ごっこで大暴れしていたゴブゴブ兵士達と、ガブガブエール酒の一気飲み大会の様相。


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