ゴブリン! ゴブリン!


『シックス、シックス、金縁の本が見つかったんなら、早く出てこい。急がないと、プー姫の命が危ないんだろうが』
 ラムラムがラムラムらしからぬ真剣な言葉で、シックス君を諌めました。
 シックス君は「ふっ」と笑い、頭に被った下着の香りを楽しみつつ(変態王子です、絶対にそうです)、金縁の本を手に取りました。


 ずっしりと重く、確かにとても綺麗な本です。
 共通語だったとしたら、チークンにも読めるはず。精霊術の言語でも、チークンは読めます。その他チークンは、ドワーフ語、ホビット語、ミミズ語(んなのがあるのかい)などの読み書きができます。
 エルフ語を覚えていないのは、単純にエルフと接触する機会が無かったからです。


 シックス君が、「待たせたな」と言いつつ扉を開けると同時に、漆黒の影ゴブことラムラムは、影のようにプー姫の部屋に滑り込みました。
 そして喚声を上げます。


「うおおおぉぉぉおぉぉぉっ! 情熱の赤、しかもスケスケ下着ゲェット!(変態剣士街道まっしぐらです)」
「よせ! 王族の下着に、王族以外が触れてはならない!」
 シックス君はマジ顔でラムラムを睨みながら、その情熱のスケスケ赤は下着を取り上げます。
 そして――


「情熱の赤下着も僕のだもん! ゲットだぜ~! ゲラゲラゲラ~」
「ずるいぞ! シックス、職権乱用だ~っ!」
「ふふふ、このトンガ平原を統一しようとする者だぞ。そのくらいの職権乱用はアリだぜ」
「……プー姫にチクろうっと(切り札切りましたね、ラムラム)」
「スミマセン、ゴメンサイ(土下座)」
 シックス君はしぶしぶ、ザックに詰めた収穫物(だから下着ドロですってば)を、元の引き出しに戻します。
 しかしさりげなくレインボー下着だけは確保(本気で変態)。


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