ゴブリン! ゴブリン!
「うい~キボヂワルイ……吐くかも……」
その、顔に斜線が入った上に真っ赤の顔色は、思いっ切り悪酔いですね。 しかし、サドに変態にエロ親父、三つも冤罪つ けられた痩せぎす精霊術師は、本当にカワイソーです。
まあ、自業自得ですかね。だって自分の金縁の本の為だけに青いリン族の領土に侵攻した上に、プー姫までさらっちゃったんですから。
一時、顔色を悪くしながら座っていると、また扉が開いて、突き飛ばされるように、一人の少女ゴブが入ってきました。
全身が泥で汚れていますが、間違いなくペーコちゃんです。
「プー姫様!」
疲れきっているペーコちゃんでしたけれど、プー姫の姿を確認して、安心した様子です。すこぶる笑顔でプー姫の傍に駆け寄ります。
「あ、ペーコ……ヴ、具合悪い……」
「あっ! シオサバッ! あの痩せぎす(もー面倒なんで中略っと)精霊術師めえ。プー姫様に青物を食わせるなんて……」
ペーコちゃんは食器を見た後に、閉められた扉を、ぎろっと睨みました。
何しろプー姫は酩酊へべれけ状態ですから、ペーコちゃんはまず、背中をさすりました。
すると?
「うっ、ぷっ、吐くよぅ……」
「吐いちゃって下さい。景気良く、ドバーッと」
景気問題(不景気ですね、昨今)かどうかは別にしても、青物食べちゃっていますので、吐いてしまった方がいいのは確かです。