ゴブリン! ゴブリン!


 ペーコちゃんに促されたせいもあるのでしょうけれど、プー姫は「ゲロゲロゲ~」と吐いてしまいました。
「キボヂワルイ……」
「ほらほらっ! もっと景気良く、景気良くっ! ゲロゲロゲロゲ~ッてヤッチャッテ下さいっ!」


 元々ペーコちゃんの性格は、とても積極的、且つお世話好き。
 ですからペーコちゃんは無理でも何でも、プー姫にゲロゲロさせます。
 思う存分ゲロゲロしたプー姫は、少し落ち着いて、具合悪そうに横になりました。


 その苦しそうなプー姫を見詰めながらペーコちゃんは、深く溜息です。 人間達にさらわれて、プー姫はどうやらこの部屋に閉じ込められていた様子。ですがペーコちゃん達一般ゴブ達はもっと大変で、この村の周囲の要塞化に駆り出されていました。


 さらわれてからの都合二日間、ペーコちゃん達はずっと働かされていたんです。


 体も限界が近かったペーコちゃんですが、そこはゴブリン、「人間にバカにされて堪るか」という意地で働き続けていました。


 でもよくよく考えてみると、人間の村の要塞化を手伝っても、何の得にもなりません。それどころかもしも、紅いゴブ族の軍団が侵攻してきた場合、逆に邪魔になります。
 それに気付いたペーコちゃんは、ゴブリン語で一般ゴブ達にこうコソコソと伝えました。


「手ェ抜け。人間の為に働いても、意味ないし~」
 その一言が一気に一般ゴブ達に広がって、作業効率は一気にダウン。その上要塞の要所要所で壊れ易いように細工までしだす始末です。


 ゴブ達も結構、要領いいですよね。


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