ゴブリン! ゴブリン!
「どちらにしても、もう時間がない。……ラムラム、強制はしない。逃げたいのなら、逃げてもいいぞ」]
ボカッ。
そんな言葉を発するシックス君の頭に、ラムラムはハイブロウ鉄拳制裁ツッコミ敢行です(痛そうです)。
「いって~……(涙目です)」
「親友を放っておけるか。俺、オマエ、チークンは「死す時も共にする事を願わん」と誓っただろうか」
シックス君はにっこりと笑うと、ラムラムにこう言いました。
「では、行こうか」
シックス君の瞳に、強烈な決意が宿りました。
そう――
たった二人で、殴り込みを掛けようとしているのです。
シックス君が先頭に立ち、その右後ろにラムラムが従います。 正門に堂々と向かってくる二人のゴブリン。それを最初、見張り台の兵士達はぽかんと呆けて見ていました。
どう考えても、これが自殺行為である事は明白なのですから。
正門の前まで、何事もなかったかのように、シックス君とラムラムが歩いてきて、シックス君はチークンに教えてもらった人間の共通語(東北アレンジ)で恫喝しました。
「我こそは、紅いゴブ族正統王位継承権第一位、ゴブ・ラ・トンガ・シックスであるべ! 門を開くべ! 我が手元にはお前達が求めている物があるんだべ! 開かないのならば――」
シックス君は懐から紙を取り出します。
「あの本に記されているオリジナルエロ小説と、ラヴラヴポエム集と、失恋の悲しみ日記の内容を暴露するべ!」
「に、にんにんげんげん!」
見張り台の人間は、手でシックス君に待つよう指示を出し、そして見張り台から消えました。