ゴブリン! ゴブリン!


「ふ~ん、シックスってそんなに凄いんだ」
 プー姫は戦上手のリン王が負けた事を聞いて、驚いた以上に、シックス君に興味を持ちました。
 子供の頃、一度だけ会いました。
 カッコいい王子様。ただ、王子様の王道を突っ走っているのが鼻につきました。


 プー姫、素直じゃないんです。初めてシックス君を見た時、実は一目惚れしていました。でも、子供心に「私には勿体無いゴブだね」と思っちゃったんです。


 好きになっちゃったからこそ、素直になれないのは、人間もゴブリンも同じ。
 だから、子供の頃からリン王に言われてきた、「お前は将来、シックスの嫁となり、このトンガ平原に平和をもたらすのだ」という聞き飽きた台詞に、真っ向から反対してきたんです。


 お転婆だって好きでやってきたんじゃないんです(いや、好きなのは好きなんですがね)。
 そうやっていたら、きっとシックス君は呆れて、婚姻とか考えなくなるだろうから。


「リン王様は、ノリノリらしいです」
 黄色のドレスを纏い、紫色のリボンで髪の毛を結っているプー姫。(ゴブリンの価値観として)とっても可愛いお姫様。お転婆も愛嬌と言ったらそれまで。
 でも、お転婆な女の子って、逆に結構可愛いもんですよね。


 プー姫に話しかけたのは、同年代の少女(ゴブリンですが)の侍女のペーコちゃん。
 プー姫のちっちゃな頃からのお付きの侍女で、プー姫の私的な親友でもあります。

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