ゴブリン! ゴブリン!


 シックス君に差し出された短剣は、細かい意匠の施された、綺麗な短剣です。
「王者の短剣――私はこの短剣を「シックス」と名付けました。どうぞお受け取り――」


 差し出された短剣。一目でシックス君には、高価且つ、強力な魔力を持つ魔剣である事を悟りました。
 ですからシックス君は差し出された短剣を受け取らずに、にっこりと笑いこう言いました。


「そんな高価で強力な品物など要りません。私には先祖伝来の「アルバス」の方が似合っていますよ(にっこり)」
「……さすがですな」
 敬服した様子でリクスター氏が笑いました。


 今のやり取りの真の意図は、「この短剣を受け取り、帝国の傀儡と化せ」というものです。シックス君はそれを読み取り、「「アルバス」の意味を忘れたのか?」と応えたのです。


「では、捕らえられたゴブリン達を解放し、領土に戻られるがよろしかろう。今回の件に関する事後処理の使者は、後でこちらから派遣させて頂きます」
 シックス君は小さく笑い、リクスター氏に「では後日」と言った後、駆け出しました。


 そう大好きなプー姫の元に――


 ステージの端では、プー姫が瞳をうるうるとさせながら、シックス君を待っていました。
「プー姫!」
「シックス! ……ヴ、ギボヂワルイ、ゲロゲロゲ~」
「ぎゃーっ、僕に向かって吐くなあ!」


 最後の最後まで愛には生きられないシックス君でした。
 ちゃんちゃん♪


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