Hope is not thrown away.
とりあえず部屋からでた俺は一度病院の外へと足を進めて学ランのポケットに手をつっこんでケータイを取り出し、
ピッピッっと電子音を鳴らせてから俺はケータイを耳にあてた。
『もしもし?』
向こうからのんびりとした奏の声が聞こえる。
「あ、俺だけど…」
『春斗?もう病院についたんだ。結構早いね』
「まぁな。ところでさ・・・奏のおばさんって整形手術でもしてたっけ?」
『別にしてないけど・・・?何で急にお母さんの話になるの?』
「え?入院してるのってお前の母ちゃんだろ?」
『は?』
「え?」
『あのねぇ・・・私はお母さんのお見舞いに行って来てっていった覚えはないけど?』
「そういえば。」
なるほど。俺は勘違いをしてたのか!
「後さ、号室って205でちゃんとあってるのか?」
「あってるわよ」
突如俺の背後から俺が電話をしている声が聞こえてきた。
「えぇ!?」
「しっ!ここは病院よ」
「あぁ、ごめん」
ここが病院ってすっかり忘れてた。
「って何お前さっきから鼻つまんでんの?」
さっきから気になってはいたが
散歩をしていた看護師や患者がジロジロ見てくるので聞いてみた。
「私、病院のにおいって嫌いなの。主に薬品の」
薬品のにおいって……
「おいおい、ここは病院でも中庭だぞ?においってあんまりしねぇんじゃねぇのか?」
「私の嗅覚をあまくみないで春斗」
目の前で小さい鼻をクンクン動かせる奏。
お前は犬かよ・・・・・・
「それに・・・・・・あの頃を思い出すもの……」
「え?」
最後に奏がボソッと呟いたが小さい声で呟いていたので俺には聞き取れなかった。