Hope is not thrown away.


「へぇ~…あの子って桜乃優季っていうんだー」


ついでに俺と奏と同じ学校で同じ学年らしい。

そして入院していて学校を休んでいた分のプリントを奏が毎日届けていたそうだ。


「それにしても傑作よねっ、私のお母さんだと思っちゃたなんて!」

奏がクククッっと笑いを堪えながら俺に話しかける。

「だあーッ!もうその話は終わりって何度も言ってんだろ!」

多分今の俺の顔は真っ赤になっていると思う。うん。

今更だけど俺の頭の悪さは異常だと思った。



「ほら、ついたわよ」



奏と他愛もない話をしていると件の205号室へ着いた。


俺の心臓がドクドク鳴っているのがわかる。


俺がドアの前で百面相をしているのをお構いなしに奏は

コン、コン

っとノックをした。


あ。二回だったんだ…

っと俺は自分を落ち着かせるためにどうでもいいことを考えて気を紛らわした。


「どうぞ」

あの女の子から返事が来たので俺と奏は205号室へ入った。


「体調はどう?優季」


「カナちゃん!うん。大丈夫だよ」


にっこり笑顔で奏に報告する桜乃さん。


カワイイな~って思っていると桜乃さんは俺の存在に気づいたらしく小さな悲鳴をあげた。


「なっなんでまた此処にっ!?部屋を間違えたんじゃ……」

奏の時とは裏腹に俺に対しての態度は……………冷たかった。

あれー……?何これ差別?

「そっそんなに警戒しなくても…」

せっかくの可愛い顔が台無しだよ?

「アハハッ!優季、コイツは青山春斗。私のクラスメイトで大切な人だよ」

「カナちゃんの…………大切な……人……。」

自分に言い聞かせるように何度も口ずさむ桜乃さん。

「そっ!俺は奏の大切な数少ない友人、青山春斗。よろしく!桜乃さん!」

笑顔であいさつをしたはずなのになぜかその後俺は奏に殴られた。

なんで怒ってるんだろう?


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