ブラッククロス
無理矢理キスを落とす…。
この香り…。







欲しい…。





首筋に牙を立てようと肩を露にさせる。





「!」





目に見えない紋章が浮かんでは消える。





足元から徐々に氷の柱を作り上げる。





それは白い吐息を吐きながら私を見つめていた。




「怖いか?ローズ…。」




今にも凍り付けにされるというのに…。
「いいえ。」






首まで凍り…。その命を吸い上げる。
最後の口づけを…。
誰のものでも構わない。
これが欲しい…。






氷の美しいモニュメントが出来上がる。






パリパリっ…。






それは…。心の臓を止めることはなく。
銀の波動が氷を割る。





そして、蒼い炎に包まれる。





「彼奴の餌か…。」






氷の鳥を飛ばす。
当たればそこは凍る。
それは何かに阻まれた。





「ふん…。結界か。」





銀の波動が押し寄せる。
分厚い氷の盾にはヒビも入らない。





それは…。白い吐息を吐きながら
「私は…。戦うつもりはないけれど。止めて…。」





氷の巨石を落とすもやはり結界が邪魔をする。






「守るだけでは拉致があかないぞ…。」





距離を縮め足元を凍らせる。
辺りは氷一面…。
逃げ場はない。






「華を摘むより愛でる方が僕は好きだ。」
命を吸い上げる。






それは…。
私を…僕を露にさせる。
隠しているものを…。溶かそうとする。






「何を怖がっているの?」





アイスブルーの瞳を見つめる。





「私を殺して、どうするの?」





「どうする?別に何もない。餌に過ぎない。」






ただ無性に欲していた。
得れば何かを失う。
ただそれだけのこと…。





「お前に何がわかる!僕の何を…。」






あぁ…。止めろ止めろ止めろ…。






「似てる…。凄く…。」





半分氷漬けに近いそれは…。
私を包み込む。






「私は…。貴方の全てはわからない。貴方自身ではないから。でも痛みなら少し私にも解る。痛みなら少しわけられる…。」





それは…。白い吐息を吐きながら言う。






「ただの戯れ言だ。」






「それでも私は…。信じてる。」






「僕の中に入ってくるな…。」





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