ブラッククロス
淡雪のように…。消えた。
母は言った…。
愛してしまったならその心を捧げなくてはならない…。
私のように…。
貴方は愛の結晶。私の愛しい…。





命を吸い上げる僕と引き換えに産み落とした。
白い宝石と共に…。





欲すれば溶けてしまう。
それでも欲しい。






凍てつかせてやる。






相反する心を閉ざすように…。
魔力に磨きをかける。






城の闘技場に立っていた。
片目のバンパイアと対峙していた。
氷の剣が高音質に響く。





「動きに迷いがありますな…。」






迷い?






「ネージュ様…。」






無言で刃を押し返す。
「最近怪しい動きがあります…。お気をつけて。」





接近の短い間に伝えられた。





「それと…。火遊びは火傷しますぞ。」






乱暴に刃を弾き返した。




面白そうに片目のバンパイアは見ている。






「バンドー…。余計な詮索はするな。」





アイスブルーの瞳が輝きを秘めていた。






「不穏な影があります…。部下を一人つけています…。」






「必要ない…。」






無言で刃物を凍らせ身動きを止める。






「王たる者の従者の血を受け継ぐ者です。信用できますぞ。」





余裕な笑みで剣が降り下ろされる。





剣が終に砕けた。





氷の氷柱を次に作り出し下から狙う。
片目のバンパイアは跳びながら紙一重で避ける。




上から氷の塊を留めに落とす。





だがそこには片目のバンパイアが立っていた。
「腕が上がりましたな。」





まだまだこれから…。






「本気ではないのだろ?」





にっこりと微笑んだ。






ちっ…。忌々しいが仕方ない。






「今日はこのくらいで…。」






汗をかくこともなくそのまま消えてしまう。






イライラは募るばかりだ。





魔導書を手にいつものところまで行こうとする。





追跡させた蝶が示した場所へ。






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