ブラッククロス
肩が大きく空いたドレス、細い足に巻かれたリボンが愛らしい。





白い肌に寒さで赤い頬に小さな唇が栄えていた。




何かを探るジルエットを焼き付くしたい。そんなに見るな。私の所有物に…。





蒼の火は…。聖女を受け入れた。
バンパイアから見れば、俺の所有物と直ぐにわかる。





火を纏う彼女は美しい。



首筋に噛みつきたい衝動を押し込む。





下を向いたままの所有物。





「どうした?」





「こ、この恰好…。」





「?」





「似合う?!」





赤い顔の所有物。





グラスは下がり、そのまま消えた。





耳元から噛みつく。
ピアスが光を放つ。





「綺麗だ。」
そのまま赤い雫にかぶりつく。
小刻みに痙攣すると甘い声が漏れた。
次第に紋章が浮かび上がる。





ニヤリッと笑ってしまう。
彼女は美しい。
まだ未熟な果実は魅力的だ。





*******





「もうすぐ手に入る…。」
枯れない花が…。





結界が完成する。





誰にも邪魔などさせるものか。





「永遠に…。綺麗なままに。」





城と城が繋がる。





「そろそろ摘み時か…。」





一人語る主を見ていた。




執事は覚悟を決める。
瞳に悲しみと暗闇を隠しながら…。





「ネージュ様…。」




マリー…。やはり私は…あの笑顔を奪う。






「棺はできた…。」





後は網にかかるのみ。





愛は時に歪み出す。





気づかぬままに。






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