ブラッククロス
執事が現れる。
「人間がやはり侵入したようです…。しかも教会の手の者のよう。」






「そうか…。」






余り気に止めていないようですね…。華が手に入ったのだから。





「どういたしましょう?」





「ジルエットを呼び寄せよ。褒美はたんまりくれてやると言ってな…。」





「お待ちください!あやつは危険過ぎます!私が参ります。」






玉座から窓の外を見ながら
「お前は私から放れてはならない。」





「ネージュ様…。」





王宮に仕える元暗殺者…。平気で寝返る裏切り者の風見鶏。





氷の双剣を胸の前に掲げ執事は誓う。





「貴方の想いのままに。」





額に触れるだけの口づけをする。
そして、手の甲に口づける。





指輪が光る…。白く輝くビッグジュエル…。白の氷星。





撫でながら笑う。





「呼び寄せろ…。依頼は人間の始末。」





「御意…。おうせのままに。ネージュ王。」





執事は霧のように消えた。





蒼の火と白い氷星が共鳴して脈打ちながら淡い光を放つ。





「ローズ…。やっと手に入ったね。もう渡さないよ。私の物に。朽ちないように…。」





手が棺をすり抜け頬に触れる。
体の線をなぞっていく。




*****





城の入り口の大きなヘルハウンドは半透明の鼻をひくつかせていた。





スケルトンドッグは唸り声をあげると二匹は獲たいの知らないそれに襲いかかる。





風が渦巻いて巨体のヘルハウンドが倒れる。





「俺だよ俺!忘れたか?」





二匹は姿を表したバンパイアに尻尾をふる。





「めんどくさいことになっちゃったよなー。王の命によって参上した…。ジルウェット·ラファールだ。」





門前に立ち塞がっていた二匹は脇にさがり下肢付く。





「ほんじゃまあ…。行きますか…。」





クルクル回りながら城に入って行く。






「懐かしいな…。」






ひんやりしたものが首筋に当たる。






「そういうグラスも好きだけど危ないものはしまってほしいな。」





ニコニコしているが殺気を隠さない執事。






「王がお待ちです…。」





氷の双剣をしまいながら案内する。






「勝手知るなんとかてやつ?大丈夫だよ。」

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