ブラッククロス
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「見つけましたわ…。」





白いフクロウが獲物を捕らえた。





「ターゲットは何処だ?」
白い番犬がカチリと二つの銃を構える。





「まぁまだ早いんじゃないの。」
小さな子どもが止めに入る。





「まずはキングからか…。それともクイーン?」





「ジョーカーが先だ。」
重厚な声が響く。





「鷲がそう決めたなら従うまで…。聖剣の力を…。」





「お前はダメだ。」





「しかし!」





「羊に頼もう。」





「主の加護があらんことを…。」





「主の加護があらんことを。行ってきます。」
十字に切った白い小さなフードは鼻唄混じりに去っていく。





「一人で大丈夫でしょうか?」





「ユニコーン。心配無用だ。彼奴が一番食わせものなのは知っているだろう?」





「…。はい、エグル。」





「お前はリオンの心配だけしていろ。やつが一番面倒だからな。」






「さぁ。聖戦が始まる…。」





化物の巣窟を破壊する。




手始めに内側からな…。




白い十字架に赤い薔薇のエンブレム…。
鷲と呼ばれるセブンハウンドの主は重厚な声に闇を震わせる。






白いフードが動き出した。





「さて。彼女は何処かな。」
金髪の羊はスキップしながら進んで行く。






闇の住人達は気にもとめずに見送るだけ。





小さな白いフードの聖者は闇の町を縫うように進んで行く。





知らぬは幸せか…。





それとも…。





町はいつものように時間が流れ、これから起こることを…。





知らない。






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