ブラッククロス
フクロウはゆっくり目を開けた。
「見つけたのに跳ね返した?」





イライラしながら犬が噛みつく。
「おい、イブ勝手なことするなよ。」





「貴方に言われたくありませんわ!」





「なんだと!」
カチリ!にらみ合い。






「止めなさい二人とも!」





「「だって!」」






「先ずは敵の内から崩します。手筈通りに…。神の御名において。」





スラリと長剣を抜く。長いレイピアが冷たく光る。





「シアン行きますよ。」




「へいへい。イブ…。気をつけろよな。」






「あっ貴方こそ気をつけなさい!」
赤くなるフクロウはうつむいて消えた。






城には既に羊が歩いていた。
誰も気づかない。
それが神に愛でるられしもの故に…。





「いたいた。」
城の城壁から棒を震わせる。
湖の上に空気の振動が伝わる。





苦しみ出した骨皮の生き物を冷たい二色の瞳が見えた。





バランスを失う生き物は主を岸にギリギリ落とす。





悲鳴が聞こえ…。






岸に人魚と翼の生き物が横たわる。





音もなく小さな白いフードが近づく。





「あなたは?」





小さなフードが顔を上げる。
金の髪に二色の瞳が見えた。
少年は言った。






「迎えに来たよ。」





白十字に赤い薔薇のエンブレム。





悟った…。
「中央教会…。」






「異端者は貴方だね?」



天使のような少年は耳元に囁いた。





触れようとし、炎に包まれる。





素早く飛び退いた少年は目を細めた。
少女には何かある。
青白い炎に包まれる。





「獣は目覚めたか…。それとも。」





青白い炎が広がっていく…。





「ヴィダー!」




炎に包まれる瞬間、白い守らが降り立った。
「遅いじゃない。イブ…。」





金髪の少年は微笑んだ。




フクロウは全身に集中し、聖なる鎖を解き放つ。
青い薔薇は炎に包まれる。
ゆらゆら陰ろうが見えた。「ノア!」




羊が空気を震わせる。





次第に炎ごと聖なる鎖が薔薇を絡めとる。





抱きしめる陰ろうは苦しそうにしていた。






*******





鏡を振り返る。
セピアの世界は静寂。




葉のない木々。その一つに紅い瞳がいた…。






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