ブラッククロス
「古き血を受け継ぎし器。その血と体に…。降りたまえ…。落ちる刃は闇の世界。ノーブルローズその力示せ!」






女神の三日月が落ちた。





闇の世界は…。





揺らぎ破壊していく。






「まだ足りない…。粉々に消えるまで…。」






******





「くっ…。」





血の封印が解かれたか?




アイスブルーの瞳は天を仰いだ。
自分の血の力を…。





「王!いけません!消えてしまいます…。」






綺麗な光が見えた。
「これが私の務めだ。グラス…。頼みがある。」




膝をついて自らの主を見つめた。
「何なりと…。我が主。」





「グラス…。お前の魔力…。」
その先は口づけで塞ぐ。





悲痛な顔のアイスブルーを見つめた。
「わかっています。ネージュ様…。我が身は貴方のもの…。魂はいつもここに。」





あぁ…。いつも私は…。僕は…。欲しいものが手に入らない。






微笑む忠実な執事は
「我が身を食らい…。魔力を…。」
絶対に灰に、消えたりなどさせはしない。ネージュ様…。





「すまない…。今の私では魔力が足りない。」






深い口づけの後…。






ガっ!






首元に深く牙が突き刺さる。





冷気が飛散していく。
無数の蝶と氷の龍が天へ上り、見えない銀の天盾と混じり合う。





アイスブルーの瞳が一際輝きいた。
「アンフルラージュ…。」





闇の世界は…。氷のドームに包まれた。





そして、氷の棺には二つの光。
二つの光を核として闇の世界を守る…。
その魔力つきるまで…。





風がドームの中に吹き荒れる。





パールに変化する翡翠の瞳。
「おいおい…。死ぬ気か?それは…。困る。」






風が冷気を上昇させ、更に魔力を強化した…。






******






< 79 / 133 >

この作品をシェア

pagetop