ブラッククロス
「!!」
声にならない悲鳴を上げた。
痛みと快楽に飲まれるような、一気に刺激が体に流れ込む。





孤独に…。気高く…。それでいて熱い…。





丸で炎そのもの…。






所有者と所有物にしか出来ない絆…。





炎に包まれるバンパイアと聖女…。





同調するようにビクンと聖女の体は動き、薔薇の紋章が全身に広がっていく。





蒼の炎に包まれる。






覆われた棘を焼きつくす。
浄化の炎に包まれる。






所有物の血で所有者の魔力は増していく…。





極上の一輪の薔薇が咲き乱れる。
甘い甘いしびれるような香りを纏って…。






孤独な王の為の華は…。咲いていく。
少女から大人へと…。






捧げられた一輪の青く光る薔薇…。






契約の元に孤独な王の魔力を増していく…。






酔いしれながら思っていた。
魂は同じなのかと…。
同じことを昔言った華があった。





それは無惨にも刈り取られ、自分が壊した。ただ愛でたかっただけだった。





同調した少女には悲しげに瞳が見えていた。






それでも私は…。貴方のもの。貴方の傍にいるから、貴方の傍がいいの…。
だから、独りにしないで!!





炎に包まれる。






もう独りにしない…。約束しよう。
ローズマリー…。






溶け合いながら、約束の口づけを繰り返す…。
次第に深く…。深い口づけに変わる。






発動した棘は闇の世界に天から落下する…。






結界に直撃する瞬間。
青く光る炎も降りて行く。





結界が弾ける…。






光と共に…。
闇は…。強力な光できえてしまう。





光りもまた闇が濃ければきえてしまう…。






風が全てを消していく。町が消えていく。






少年の叫びが聞こえた。







「旦那様ー!」






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