ブラッククロス
「俺って天才?」






炎と冷気を同時に強化した。
翡翠の風見鶏は境界線から光と風と共に消えていく。





またこれも運命か…。それとも。






風と共に消えていく瞬間。声が聞こえた。





「本当にそれでいいの?」





銀の天使がうっすら通り過ぎていく。





「そんなわけないだろ?坊主もいるのに…。」





なんだかんだで生き延びてきたというのに…。





「くすっ…。貴方も変わらないのね。」
銀の天使が微笑んで消えた。
風と共に…。






ガシャン!






炎に包まれる白い箱に部屋。
棘は炎に包まれ、消し炭になっていく。





それでもまだ出口は現れない。





*******






「私は…。私の決着を着けよう。」





囁きが聞こえた。






うっすら目を開ければ、またセピアの世界。






目の前にはバンパイアと大きな獣がいる。
遠くに見えた二つの影。




近づこうとしたけれど…。
大きな十字架に縛りつけられていた。






「ノア…。」





私はここから見ることしか出来ないの?






夢との狭間。





あるのは大きな樹木。
葉のない樹。





唸り声をあげながら獣とバンパイアが対峙する。





血が飛び交っていた。
牙と爪が交錯する。






嘶きが近づいて来た。





「リュビ?」





すりよる骨皮の生き物。
「私は…。見てるしか出来ないのかな。」





ピンクルビーの瞳が首をかしげる。






激しく血が飛び交っていた。





「どうした?ノア…。終わりか?」





「黙れ…。」
血をぬぐいながら紅い瞳の獣を睨み付ける。





高速で獣の脇腹に突き刺さした爪が折れていく。




「!」





血を流したのはバンパイア。
不敵に笑う獣は言った。




「お前は私だと言っただろう?」





ダメージは確かに獣。だが自分も傷つく。
やはりあれは…。






獣の口から牙が見える。




「終わりにしよう…。ノア…ノアール!」






血が広がっていく。






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