あの空の下で
ベンチでぼーっとしていると

「ままー!!ままー!!」

まだ幼い子供の声が聞こえた。

「優志ー!!こけちゃうよー!!」


…前田だ。前田の声がする。

優志は前田の心配をよそに、一目散にブランコに向けて走る。

まだ前田は俺に気づいてない。

変わってねーな。

でもちょっと大人になってる。

『お母さんの顔』してる。

頑張ってんだな。

すげぇや。



俺は飲み干したコーヒーの缶を

捨てに立ち上がった。


歩き出した時


「川端君!!」


懐かしい声でそう呼ばれた。
< 22 / 58 >

この作品をシェア

pagetop