あの空の下で



しばらくして、優志も涙が収まり、私も落ち着いた。



もう駄目だと思った。



ここから逃げ出したいと思った。



ふと時計に目をやると、待ち合わせの時間になっていた。



「幸成になんて言おう…」



慎吾には、外に出るなと言われた。



私は、衝動的に二階に駆け上がり、優志の服と私の服を鞄に詰めた。



なにも考えず、ただただ詰めた。



「…まま、どこか行っちゃうの…?」


優志が不安そうな表情で問いかけた。


「一緒に行くの。優志も持って行くもの、ここに入れて?」


私がボストンバッグを指さすと優志は急いでおもちゃや絵本を持ってきて入れた。



出発しようと玄関で靴をはく時、玄関に置いてある鏡を見て、なぜ慎吾が外に出るなと言ったのかがわかった。




「まま…痛い?大丈夫?」



私の頬を撫でながら優志が言った。



「痛くないよ、ありがとう。
さっ!!行こうか!!」



「うん!!」



私は鍵も閉めず、手をつないで大荷物を持って、家を飛び出した。
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