あの空の下で
「お兄ちゃん!!見てみて!!
僕のお弁当かわいーよ!!」



「お…おう。かわいーな。」



結衣に痛々しい笑顔で弁当箱を渡され、訳も分からず、とりあえず弁当を食べる。




「優志ー!!いっぱい食べてねー!!」


「うんっ!!」


微笑ましい会話をしている結衣と優志。


いつもなら俺も『いっぱい食べろよー』なんて言うとこだけど、今日は違う。



結衣の目の下に、恐らく痣になるであろう赤い跡。


それから、保育園は休みなはずなのに優志の肩にかけてある通園バッグ。



なにより…結衣の大きな荷物。


どこかへ旅行にでも行くのかと思ってしまうくらいの荷物だ。



どうした…?


何があったんだ…?


なんで結衣は何も説明しないんだ…?




「お兄ちゃん!!僕もう食べたから、サッカーしようよー!!」



「お…おう。」


「まま見てるからねー!!」



もうすでにボールを持って走り出す優志。


結衣に戸惑う俺。


俺と優志を笑顔で見送る結衣。



ま…とりあえずサッカーするか。
< 50 / 58 >

この作品をシェア

pagetop